廣済堂出版

許されて生きる

西田天香と一燈園の同人が下坐に生きた軌跡

著者名
神渡良平
定価
本体1700円+税
出版日
2018/11/23
判型
四六判
ISBN
9784331522035
ジャンル
エッセイ
ネット書店で購入
  • FacebookFacebook
  • TwitterTwitter
  • はてなブックマークはてなブックマーク
  • LineLine
  • シェアシェア

内容

イエローハット創業者 鍵山秀三郎様も推薦!

時代は明治も終わる頃。
日露戦争に勝利した日本は特需に沸き、国中が産業立国を目指し、
人々は立身出世の志気に沸いていました。

そんな中、静かに「自分とは何ぞや」と問いかけ、ひとつの生き方を見出した人、
それが西田天香でした。

「私は最近、すごい人物に出会いました。彼は人々の下坐に下りて懺悔奉仕し、
決して報酬を受け取らないのです。
なりはあたかも労働者風ですが、禅僧のように凛としています。
現代まれに見る、見上げた人物です。
彼の生き方を知って、私は拙書『病間録』をまだまだ甘く恥ずかしいと思い、
焼き捨てたいほどです」

思想家として有名な綱島梁川は、このように西田天香を評し、
早稲田大学教授の中桐確太郎や、『自殺論』で一世風靡した評論家の魚住影雄(折蘆)、
社会主義者の小田頼造や、当代一流の徳富蘆花などに、
西田天香の生き方を熱く語っていました。

「下坐に下りる」とは、人がやりたくないことを、自ら進んで行うことです。
天香さんは、家々を回って庭の掃除や便所掃除をし、
何も所有しない無一物所有の生き方を貫きました。

そんな彼の生き方に共感した人に、文学者の倉田百三、哲学者の和辻哲郎や西田幾太郎、
高名な寺の官長、大学の教授や経営者などなど、実に様々な人が教えを乞いに集りました。
そんな人たちの輪が大きくなり、京都に「一燈園」が生まれました。

戦争と関東大震災、そして終戦を経て、社会不安が蔓延しつつも復興に人々が立ち上がっていた時代、
静かに、謙虚に、自らを信じ、人々の愛の中で生きる天香さんの生き方は、
世の中に、もうひとつの大きなうねりを作っていったのです。

本書では、天香さんをはじめ、三上和志さんなど一燈園の同人たちの生き方が描かれています。
その生き方とは、「許されて生きる」ということ。
金品や名誉を追い求め、持てる者が強いという時代は、もう終わりを迎えようとしています。
これからは、持たざる者の豊かさを追求する時代です。
本書は、そのことに気づかれた人のためのものであり、
きっと深く心に響く1冊になるでしょう。